健康コラム

 

第64回 高齢者に多い整形外科的疾患(2019年11月)

 

 

日本は高齢化社会が急速に進んでおり、2040年頃65才以上の人口がピークになると予想されています。100才まで生きられる方も増えていく中で、より長く質の高い生活を送っていきたいものです。

整形的疾患で人生を突然狂わしてしまうのは、何と言っても転倒によるケガです。高齢者が転倒によって骨折しやすい部位は、背骨、股関節(大腿骨頚部)、手首(橈骨遠位端)、肩(上腕骨近位部)です。これらは手術になってしまうこともあり、リハビリをしても受傷前よりADL(日常生活動作)が低下してしまうことが多いと言えます。

 

また、徐々に発症する疾患として、経年的に進行する背骨や関節の骨の変形、軟骨の摩耗による痛み、下肢筋力の衰えによる歩行能力の低下、神経障害による四肢の痛み、しびれ、関節の拘縮などが起きています。絶えず痛みやしびれを抱えながら生活していくのは辛いものです。このようなことで、生活活動に制限が起き、介護を必要となってしまう状態をロコモーティブシンドロームと言います。

 

では、予防的視野に立ってどのような対策をすれば良いのか。まず足腰の筋力強化(歩行、階段昇降、片足立ち、など自分の体力に合わせて継続可能な量、時間で行って下さい)、関節の可動域を広げるためのストレッチ、骨粗鬆症対策(運動、食事、薬物療法)、負荷の軽減(肥満の予防、姿勢、掃除、草取りなどのやり過ぎ)などに気を配って下さい。

 

快適な老後を送れるように早期対策、早期予防をすることが肝心です。

 

 

小曽根 恭(小曽根整形外科)

 

 


 

 

第63回 男性乳がんと女性化乳房(2019年10月)

 

 

毎年10月は「乳がん月間(ピンクリボン月間)」です。

乳がんと言うと女性だけがかかる病気と思われがちですが、実際には男性でも乳がんになることがあります。

 

男性の乳がんは女性の乳がんの約1%未満で比較的稀な病気です。症状で一番多いのはしこりですが、乳首からの分泌液や、まれに乳首のびらんで気づくこともあります。しこりは乳首のすぐ真下に発生することが多いため、自分で気付きやすいです。その他、発症しやすい年齢が60歳代で、女性の乳がんと比較して平均年齢が10歳以上高いのも特徴です。

診断方法や治療方法は女性の乳癌と同じで、触診・マンモグラフィ・超音波・穿刺吸引細胞診・組織検査などを行い、乳がんと診断がつけば手術が必要です。手術後に薬物療法が行われます。

 

乳がん以外で男性の乳首にしこりができる病気として、女性化乳房があります。しこりと言っても、実際には片方または両方の乳腺の肥大が起こったものです。乳首の下に比較的平べったいしこりとして触れ、触ったり服が擦れたりした際に痛みを感じることが多いです。

男性でも女性ホルモンがあり、何らかの原因で男性ホルモンに対する比率が高くなることが女性化乳房の主な原因と考えられています。生理的なものとしては年齢によるもので、思春期や高齢者によく見られます。また、一部の薬剤の服用に伴うことがあり、意外と多くの薬で女性化乳房が起こりえます。その他、肝硬変や腎不全、まれに内分泌疾患(甲状腺機能異常、性腺機能低下症など)、睾丸腫瘍や副腎腫瘍によるホルモン分泌が原因となることもあります。

ほとんどの女性化乳房は生理的なもので治療は不要ですが、内分泌疾患や腫瘍に伴うものは原因である病気の治療を行います。

男性でもまれに乳がんを発症することがあり、しこりに気づいたら一度検査を受けることをお勧めします。

 

 

堀井吉雄(堀井乳腺外科クリニック)

 

 


 

第62回 糖尿病性腎症に注意(2019年9月)

 

糖尿病性腎症は、糖尿病の合併症です。最悪の場合、人工透析へ移行します。段階を経て病気が進行します。このため、できるだけ早期に発見し適切な治療をする事が重要です

 

糖尿病性腎症には。病期があり第1期~第5期まであります。第2期(早期腎症期)では、ごく微量のタンパク質(微量アルブミン)が漏れ出てきます。

腎症が進行すると、もう少したくさんのタンパク質が尿にでてくるようになります。(タンパク尿)

ここまで進行すると、次第に血圧も上昇し高血圧によって血管が傷つけられ、さらに腎臓の状態を悪化させるという悪循環に陥ってしまいます。

 

第5期(透析療法期)であります。

早期に、腎症を診断して、糖尿病をコントロール(厳密な血糖管理)することにより腎症の進展を遅らせることができます。しかし、それを過ぎると腎症の進展を抑制できないといわれております。

 

近年、上記のような典型的な臨床経過をたどり進行する腎障害を糖尿病性腎症と呼んできたのに対し、タンパク尿を伴わずに腎機能が低下する非典型的な経過を示す糖尿病患者が増加しており、糖尿病の病態が関与する腎臓病を総称して「糖尿病性腎臓病」と呼ぶようになりました。

 

群馬県では、慢性透析患者数(10万人あたり)は全国に比べ高い水準で推移しており、新規透析導入数に占める糖尿病性腎症の割合も全国を上回る状況にある。このため、糖尿病の発症及び重症化予防の対策は大事であります。

 

群馬県では、糖尿病性腎臓病重症化予防プログラムをつくり、糖尿病が重症化するリスクの高い未受診者などを適切な治療に結びつけるとともに、糖尿病性腎臓病等で通院している重症化リスクの高い者に対して保健指導を行うことにより、重症化を防ぎ、人工透析等への移行を防止する方針です。

 

               

     阿部弘幸(阿部医院)

 

 


 

 

第61回 高尿酸血症(2019年8月)

 

性別、年齢を問わず血液中の尿酸値が7.0mg/dl以上となった状態を高尿酸血症と言います。

 

尿酸は細胞内の核などに含まれるプリン体が分解される際に生じ、その尿酸が尿中に排泄されず血液中の濃度が高くなることで高尿酸血症となります。

 

高尿酸血症の状態が長く続くと血液中に溶けきれなかった尿酸が結晶となって足の親指の付け根などの関節に沈着し激烈な痛みや発赤、腫れなどの急性関節炎を起こします。

これが痛風発作で典型的な発作は夜間睡眠中に痛みが出現し、読んで字の如く「風に触れても痛い」状態になります。痛みの始まりからピークまでは半日程度で高度の関節炎では赤く腫れ上がった後、1~2週間程度で自然軽快します。痛風発作の症状が治まっている期間には全くの無症状です。しかし痛風の元となる高尿酸血症を放置すると腎臓に沈着して腎臓の機能を低下させることや、尿管結石が出来やすくなったりします。

 

高尿酸血症を持つ人は肥満や脂質異常症、耐糖能異常、高血圧症などを合併していることが多く、動脈硬化性疾患を発症しやすいことが知られており生活習慣に気を付けることが大切です。

肥満と高血圧、糖尿病合併している人が減量をすると血圧と血糖値が下がることがあり、同様に肥満傾向にある人が減量をすると尿酸値も低下する傾向にあります。このため減量が治療の基本となります。しかし過度な運動は尿酸値を上昇させるため週3日程度の軽い運動を継続して行うことが効果的です。また過度のストレスも尿酸値を上昇させるため、身も心も適度な休養を取りストレスを上手に解消するようにしましょう。

 

高尿酸血症には大きく3つのタイプがあり尿酸が尿中に排泄されにくい「排泄低下型」と尿酸の産生が増えすぎる「産生過剰型」、そして両方を併せ持つ「混合型」です。

排泄低下の予防としては水分(清涼飲料水は高カロリーなので出来るだけ水やお茶)を多くとり尿量を増やすことであり1日2ℓ以上の尿量を目指しましょう。また尿酸の元となるプリン体は肉や魚の内臓類に多く含まれるため食べ過ぎに注意してください。またアルコール飲料はアルコールの代謝に関連して尿酸値を上昇させるので出来るだけ控えましょう。夏にはとてもおいしいビールですがプリン体が多く含まれるため控えるようにしましょう。

 

夏は発汗などにより体内の水分が奪われるため、尿酸値が上昇しやすく痛風発作が起こりやすくなります。熱中症予防と同様に充分な水分補給を行い、日本一ではないにしてもとても蒸し暑いこの館林邑楽地域の夏を乗り切りましょう。

 

 

寺内政也(寺内医院)

 


 

 

第60回 熱中症(2019年7月)

 

熱中症…高温多湿な状況下で、めまいや顔のほてり筋肉痛や筋肉のけいれん、倦怠感や吐き気、そして体温上昇といった症状がみられれば熱中症の疑いがあります。

重症になると呼びかけへの対応や、歩き方など行動の変化が見られることもあり時には重篤な場合に陥ることもあります。

 

予防法は先ずは暑さに対応できる体力を保つため、日常的に適度な運動をおこない、適切な食事、十分な睡眠をとり、暑い環境下ではこまめに水分をとる、適切に塩分をとるなどの行動が必要です。

また屋外はもとより室内でも温度や湿度などを気にして風通しの良い状況や少しでも環境に適した通気性の良い衣服とすることも重要です。

 

炎天下でのスポーツや空調設備の整っていない環境での作業時などでは、まずは自分のいる場所の気温や湿度を知ること、適度な水分と塩分の補給と服装の工夫、適度の休息をとることで「身を守る」行動が必要です。

特に体温調節機能が十分に発達していない乳幼児、温度に対しての感覚が鈍くなってしまう高齢者の方は熱中症になりやすいと言われています。

 

もし熱中症かな?と思うようなサインがあったときは、すぐに「涼しい所への移動、体温を下げる処置、水分補給」などの応急処置を行い医療機関への受診を考えてください。

 

 

真中千明(真中医院)

 

 


 

 

第59回 コレステロールはいくつですか?(2019年6月)

 

健診などで脂質異常症を指摘されたことのある人は多いのでは無いでしょうか?コレステロールが高い状態を放置すると動脈硬化が進行し、心血管病(狭心症、心筋梗塞など)を発症するリスクが高くなってしまいます。しかし適切に治療することによりリスクを下げる事は可能です。

 

では、コレステロールの数値がいくつなら治療が必要でしょうか?

健診ではLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が120mg/dlを越えると異常値となること多いですが、異常となった方がすべて治療の対象となるわけではありません。

 

今までに冠動脈疾患の既往がある?

タバコを吸う?高血圧がある?HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い?耐糖能異常(糖尿病の気がある)ある?ご家族に冠動脈疾患の人がいる?年齢?

上記の危険因子を考慮して治療の目標値が決まってきます。

目標値を超えているようであれば、生活習慣の改善、薬物療法などの治療が必要となってきます。

 

危険因子を多くお持ちの方は健診の基準値ギリギリでも治療の適応になる場合もあります。ギリギリだから様子を見ようではなく、まずは医療機関でご相談ください。

適切な目標値に向かって治療を受けていただき、心血管病のリスクを少しでも下げて頂けたらと思います。

 

 

上野泰也(うえの医院)

 

 


 

 

第58回 夜に排尿で何回起きましたか?(2019年5月)

 

夜間、排尿のために起きなければならない症状を「夜間頻尿」といいます。

夜ぐっすりと寝たいのに、何回も排尿に起きると、睡眠の質が低下して、翌日もぼおっとしてしまったり、疲れがとれなかったりということも起こります。男女ともに年齢が高くなるほど夜間頻尿がある方の割合が高くなり、また尿の回数は高齢の方ほど多いことがわかっています。

 

夜間頻尿の原因は人によって様々です。血液がどろどろになるのを恐れるあまり水分を取り過ぎていたり、飲酒や服用している薬の影響だったりすることもあります。

男性の場合、前立腺肥大症などで膀胱に貯められる量が減ったために、回数が増えることもあります。不眠症があり、眠りが浅いので、ついでにトイレに行くという方もいます。睡眠時の無呼吸が原因となることもあります。でも自分では何が原因か判断も難しいと思います。

 

もしお困りのようでしたら、「歳のせい」と片付けずに泌尿器科外来に相談に行かれるのも良いでしょう。

夜間頻尿が改善し、質の良い睡眠を得て、すっきりした頭と身体で過ごせるといいですね。

 

 

中野勝也(黛泌尿器科内科医院)

 

 


 

 

第57回 「抗体」をお持ちですか?(2019年4月)

 

みなさん、風疹の「抗体」はお持ちですか?

今年度から3年間、追加の風疹対策が行われます。定期予防接種を受けられなかった、抗体を持たない方が多い、昭和37から53年度生まれの男性に対してです。

 

風疹。妊婦さんが感染すると、胎児の「眼・聴力・心臓」に生まれつき障害がおこる「先天性風疹症候群(CRS)」を引き起こします。

 

風疹の抗体を持たない方々の間で感染は続き、その方々から妊婦さんに感染がひろがってしまうのです。平成25年には14,000人以上が風疹に感染し、CRS児が45名出生、うちすでに11名が亡くなっています。これだけ騒がれても平成の間で風疹とCRSのお子さんを0にすることができませんでした。抗体を持たない方がある程度いる結果です。逆に、国民みなさんが予防接種をしっかり受けて抗体を持てば、風疹という病気はなくすことができるのです。

 

風疹、麻疹など、昭和や平成の病気を、令和、それ以降の未来の子孫に受け継がせてはいけません。

今回追加対策の対象者以外でも、ご自身の予防接種歴や抗体の有無はしっかりと確認しましょう。抗体がない方は追加の予防接種が必要でしょう。

 

ご相談はかかりつけ医まで。

 

小柳富彦(こやなぎ小児科)

 

 


 

第56回 「点鼻薬について」(2019年3月)

 

点鼻薬とは鼻にスプレーする薬の事です。急性鼻炎(いわゆる鼻カゼ)で鼻詰まりがひどいときに、ドラッグストアで点鼻薬を購入して使用したことのある方も多いでしょう。ただしそれは「血管収縮点鼻薬」という種類の点鼻薬です。他に「ステロイド点鼻薬」という主にアレルギー性鼻炎・花粉症に対して医療機関で処方される点鼻薬があります。後者はドラッグストアでは売っていません。これら2つの点鼻薬は作用が全く異なり、誤って使用すると症状を悪化させることもあり得ます。

 

血管収縮点鼻薬は鼻詰まりに対して即効性があり、本来は急性鼻炎の際につらい鼻詰まりを取るため、一時的に使用するための薬です。花粉症未治療で症状が強い場合に、初期治療として医療機関から処方されることもあります。理想的には、1日1~2回、数日以内の使用にとどめるべきで、数週間以上の使用は明らかに使い過ぎです。使用し過ぎにより、鼻詰まりに対する効果が徐々に弱くなり、常に点鼻薬を使わないと鼻が詰まっている状態(いわゆる依存状態)になり、点鼻薬が手放せなくなったこの状態は「点鼻薬性鼻炎」と呼ばれます。こうなってしまった場合は、医療機関で点鼻薬からの離脱療法が必要となります。

 

ステロイド点鼻薬はアレルギー性鼻炎・花粉症に対して長期使用を目的に処方される点鼻薬です。ここ最近処方されるステロイド点鼻薬は、適正に使用する限りは全身に対する影響はほぼ無視できると分かっており、2~3歳から使用できる安全な薬として処方されています。ただし即効性はなく、定期的に継続して使用することで効果を発揮します。血管収縮点鼻薬のように即効性を期待して使用すると、すぐには効果が実感できないため使用を止めてしまう方がいますが、それは誤った使い方(認識)という事になります。

 

以上、自分の使用する点鼻薬の性質をしっかり理解したうえで適正に使用することで、治療の満足度が上がると思います。

 

 

 

瀬嶋尊之(板倉耳鼻咽喉科クリニック)

 

 


 

 

第55回「脂肪肝」を侮るなかれ~これからはNAFLD/NASHの時代へ(2019年2月)

 

 

健診や人間ドックで脂肪肝と診断される方は、男性で約40%、女性で約20%と言われています。近年の生活習慣病の中でも、最も多く認められる疾患の1つとなっています。脂肪肝は大別すると、飲酒によるアルコール性脂肪肝と飲酒しない非アルコール性脂肪肝に分かれます

(エタノール換算で1日男性30g、女性20gまでは肝臓にあまり負担をかけないことから、非アルコール性に定義されます)。

 

非アルコール性脂肪肝は、

Nonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)/Nonalcoholic steatohepatitis(NASH)に分類され、特にNASHと呼ばれる脂肪性肝炎はNAFLDの約10~20%を占め、進行すると肝硬変や肝細胞癌へ移行することが問題となってきています。実際、最近の我が国での肝細胞癌の原因としてC型肝炎に次ぐ2番目となり、C型肝炎がDAA治療によりウイルス根治が可能となった今、今後はC型が漸減し将来的にはNASHに入れ替わるのではとも言われています。

 

NASHの確定診断は本来肝生検が必要であり、病理学的に診断をつけることが必要ですが、臨床的に全ての患者に検査を行うのは困難です。診療の場では6カ月以上持続する肝機能障害、また画像検査による脂肪化の定量評価、さらに肝臓の線維化を評価する方法(FibroScan、elastography)などで診断することも可能になってきています。

 

NAFLD/NASHの特徴として、若年男性では脂質異常症が、若年女性では高度肥満症が、閉経後の高齢女性では2型糖尿病の合併が多く認められます。ほんの10年くらい前までは、脂肪肝というと肥満や高脂血症の合併症といった印象で、あまり治療への意識が高くなかったのではないでしょうか。

しかし、上記の如く今後はNAFLD/NASHがウイルス肝炎に代わり肝疾患の主要な病態になり得ることも予想されます。現時点で様々な薬剤が治療に用いられていますが、まだ特効薬といえるものはなく、基本的な治療方針はやはり食事、運動療法です。生活習慣の指導を行い、体重減少を達成することで改善が期待されます。概ね5%の体重減少で肝脂肪化や炎症の改善が認められることがわかっています。

 

健診で肝機能障害を指摘され来院される若年患者のうち、およそ70~80%は脂肪肝を有しており、おそらくはNASHだろうと思われる患者が増えてきているのを実感しています。患者さんは太っているからと軽く受け止めていますが、侮るなかれ。正しい病態の説明を行い、病気を理解した上で適切な治療を行っていくことが必要であると考えます。

 

今まで「何となく脂肪肝、痩せればいいか」といった認識があったなら、これからは「この脂肪肝、肝硬変にならないかな?」という意識を持って受診してみよう、そう思っていただけたなら幸いです。お心当たりのある皆さん、ぜひ一度適正な検査を受け、治療の必要があるか見極めることをお勧め致します。

 

                        

 濱田哲也  (はまだクリニック)

 

 


 

 

 

 

第54回 「大酒飲みとアルコール依存症」(2019年1月)

 

 

忘年会に新年会、クリスマスパーティーに正月の親戚周りなど、年末年始はとかくお酒の席が増える。

 

「もう三日も酒が抜けてないよ」なんてぼやきながら眠い目をこすり「酒なんて金輪際飲むまい」と誓った朝の気分は何処へやら。

夕刻になると赤提灯に吸い込まれ、「して、そのあくる日も同じことを繰り返す(ギイ・シャルル・クロオ;太宰治訳;「人間失格」より)のである。」

 

一旦アルコール依存症になってしまうと、その本質は「コントロール喪失飲酒」であるため、断酒の継続しか治療の方法がなくなってしまう。

それまでの楽しみがお酒に取って代わられ、「体に悪いと認識しながら」お酒を飲み続けてしまうのも特徴である。

 

自分がアルコール依存症かどうかの簡便なテストにCAGEというものがあり、それは 

 

1) お酒をやめようと思ったことがある(cut off) 

 

2) 家族に酒量を注意されてイライラしたり腹を立てたことがある(annoy) 

 

3) お酒を飲むことに罪悪感を感じたことがある(guilty) 

 

4) 迎え酒をしたことがある(eye opener)の四項目からなり、

 

いくつも該当してしまった方は既にアルコールの過飲傾向があるかもしれず、かなりの注意が必要だ。

酒の量が自然と増えてしまう年末年始。羽目を外さずに楽しみたい。

心配な方は早めにお近くの精神科・心療内科にご相談を。

 

 

加藤 隆(つつじメンタルホスピタル)

 

 


 

 

 
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