健康コラム

 

 

 

第46回 「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」について(2018年5月)

 

 

 アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか?簡単に言うと“もしものための話し合い”です。「意思決定能力が低下する前から、本人の意思を尊重して、ご家族さらには医療介護者が一緒になってケア全体の目標や具体的な治療・療養方針について話し合う過程(プロセス)」ということになります。

 

従来日本では、「死」について語ることは縁起でもないという理由から避けられる傾向にありました。しかし、人生の最後は必ず誰にでもやってきます。元気で決定能力のしっかりしている時点から、「何を大切にして、どのように生きたいか、どんな場所で、どのような最期を迎えたいのか」こうしたことを繰り返し話し合うことは、自分らしい、より良い人生を全うしていくことにつながっていきます。

 

 医師会では1市5町より委託を受けて、29年4月「在宅医療介護連携相談センターたておう」を開設いたしました(詳しい事業内容については、ホームページをご覧ください)。本年度は、「ACPの普及・啓発」を重要な取り組みの一つと考えて、1市5町各地区でミニ講演会を開催する予定です。多くの住民の皆様にご参加いただき、ACPについて理解を深めていただきたいと考えております。

 

 

竹越亨(竹越医院)

 

 


 

 

 

第45回 「ものもらい(麦粒腫)」(2018年4月)

 

 

 麦粒腫は、まぶたの皮脂腺や汗腺、マイブーム線に細菌が感染して起こります。

まぶたが赤く腫れ、痛みがあります。治療は細菌感染が原因のため、抗生剤の点眼液や眼軟膏、内服薬を症状に応じて使用します。化膿した点が見られる場合は、切開してうみを出します。

 

一般に「ものもらい」といっていますけれど日本各地でいろんな言い方があります。この辺の地域では「めかいご」「めけご」と年配の方は言ってるようです。東北では「めっぱ」関西では「めばちこ」、ある地域では「ばか」ということもあります。患者さんにこれはものもらいですよと説明したら「ああ、ばかですね」と言われて、びっくりしたことがありました。

ちなみにポルトガル語では「テルソー」といいます。

 

又、よく聞かれるのが「うつりますか?学校へ行けますか」というのがあります。麦粒腫はうつりませんと言うとほっとされます。

 

眼科でうつる病気は「はやりめ」です。これはアデノウィルス感染によって起こる結膜炎です。発症してから治るまでに、2週間ほどかかります。アデノウィルスは感染力が非常に強いので、周り人に移さないように注意しましょう。

 

はやりめにかかったときの注意点は、手を流水と石けんでよく洗う、目をさわらない、タオルや洗面用具は、家族のものと別にする、学校や保育園は医師の許可が出るまで休むなどのことが必要です。重症では角膜混濁を起こすことがあり、注意が必要です。

        

 

 鈴木英司(鈴木眼科医院)

 

 


 

 

 

第44回 「花粉症(アレルギー性鼻炎)とは何か?」(2018年3月)

 

 

アレルギーとは、本来は体にとって有害でないような物質に対して、体が過剰に反応して起こる病気です。その物質(アレルギー原因物質)のことを、抗原(こうげん)と呼びます。特に鼻は外から様々な物質を吸い込むため抗原に対する反応が起こりやすく、鼻粘膜で起こったアレルギー反応によりアレルギー性鼻炎が生じます。原因物質が花粉の場合、アレルギー性鼻炎と目の結膜で起こった反応(アレルギー性結膜炎)などをひっくるめて花粉症と呼びます。

 

症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりが主になりますが、花粉症の場合は目の症状(かゆみや涙目)に加えて、のど・皮膚のかゆみや咳などを訴える方もいます。アレルギー性鼻炎の抗原は大きく分けて、ハウスダストやダニなどのように1年を通じて症状を起こすものと、花粉のようにある特定の時期に症状を起こすもの、の2つがあります。

 

特にここ北関東では、花粉はスギ(2~4月)のみでなく、ハンノキ(1~3月)、ヒノキ(3~5月)、カモガヤ(5~7月)、オオアワガエリ(6~8月)、ブタクサ(8~10月)、ヨモギ(8~10月)、セイタカアワダチ(アキノキリンソウとも言い、10~11月)など、1年を通じて何がしかの花粉が飛んでいます。また花粉症の患者さんの中には、リンゴ・キウイ・モモ・サクランボ・バナナなどの果実を食べると口内~のどがイガイガしたり腫れぼったくなったり等の症状を訴える方がいますが、これは口腔アレルギー症候群という病気の可能性が高く十分な注意が必要です。

 

アレルギーが疑われた場合には、自分が何に対してアレルギーがあるのかをきちんと認識するのが重要です。そのため簡便な検査としては、採血によるアレルギー検査などがあります。検査によってお金もかかりますし、検査をしたからと言っても治療そのものに大きな違いは出ないかもしれません。しかし、アレルギーの原因が分かることで今後の対策が立てやすくなり、治療をするうえで最終的には大きなメリットになると思います。

 

花粉症を含めたアレルギー性鼻炎の治療法には様々なものがあり、自分でできるセルフケア(抗原の除去・回避)、適切な薬物療法、レーザー治療などの手術療法、体質改善を目指す舌下免疫療法などが挙げられます。花粉症でお悩みの方は、専門医を受診して自分に合った治療法を十分に相談され、納得したうえで治療を選択されることを是非お勧めします。

 

 

瀬嶋尊之(板倉耳鼻咽喉科クリニック)

 

 


 

 

第43回 「月経困難症」(2018年2月)

 

 

月経困難症とは月経に伴って生じる体や気分の不快な症状です。体の不調としては、腰痛、下腹部痛、頭痛、吐き気、下痢、便秘などがあります。心の不調としてはイライラ、眠気、不安感、気分の落ち込みなどがあげられます。

 

これらの症状とうまくつきあっていくには、体を冷やさない、適度に運動して血行をよくしておく、バランスのとれた食事を心がける、ストレスをためない、体調不良の時期には予定をつめこまない、重要事項の決定はしないなどの注意が必要かと思います。

 

さて、月経困難症の症状のうちの月経痛に関してですが、痛みのため学校や会社を休んでしまう、鎮痛薬を飲む回数が増えてきた、効かなくなってきた、などの症状がある場合は婦人科の病気が隠れている事があります。子宮筋腫や子宮内膜症です。10代でも手術をしなければならないほどひどくなっていた患者さんもいました。月経痛は我慢するしかないもの、子供を産めば治るなどというのはもはや迷信です。気になる症状があるときは、産婦人科を受診してみてください。

 

 

飯塚真理(まりレディスクリニック)

 

 


 

 

第42回 「スマホやり過ぎ注意」(2018年1月)

 

 

今や手放せなくなったスマートフォン(スマホ)。電車内の光景は異様ですね。歩きスマホや自転車・自動車のながら運転もあふれています。どこでもところ構わずツイートや写メと画像アップです。ネットサーフィンやゲーム、動画視聴など、端からみれば時間の「浪費」です。「時間どろぼう」とはよく言ったものです。ネット上の薄っぺらいやりとりから残念な結果を招く事件や事故も多いですね。確かに便利になりましたが、果たして本当にそこまで必要なものでしょうか。

 

スマホ漬けでは脳の「前頭前野」の血流・機能が低下するといわれています。記憶や思考、コミュニケーション能力や、集中力、感情のコントロールに関する部位です。キレやすい、仕事や勉強に集中できないなど、トラブルや事件につながりそうですね。思い当たるところはありませんか。

 

今やそのスマホが、成長期にある乳幼児から小中学生にまで繁殖中です。スマホ漬けの子どもたちがそのまま大人になって将来の日本は大丈夫でしょうか。使い方やルールはもちろん、マナーやモラルもきちんと身につけてほしいと思います。そのお手本はやはり大人ですよ。

 

 

小柳富彦(こやなぎ小児科)

 

 


 

 

第41回 「健康長寿」ということ(2017年12月)

 

 

「健康長寿」は誰しもが望む所であろう。

健やかに長生きにはどうするか、と聞かれることさえある。「こっちが聞きたいくらいで」と言いたいのだが、そこはまあ笑って適当に答えている。

しかし私も60代半ばを過ぎて深く関心を持つようになって来ている。

 

健康長寿を全うした著名人と言えば、日野原重明先生(105歳没)、そして文学者では高崎市出身の土屋文明(100歳没)、野上弥生子(99歳没)、土岐善麿(95歳没)、現在では中曽根康弘元首相(99歳)、瀬戸内寂聴(95歳)の諸氏が思い浮かぶ。

土岐善麿氏は90歳の時「長生きの秘訣」を問われて、「特に何もない。ただポカンと生きてきただけで」と答えられたという。

「まあ そんなところなのかな」とも思う。

 

最近、“Cognicise”という言葉を耳にする。“Cognition(認知)”と“Exercise(運動)”を合成した言葉で「認知機能を働かせながら同時に運動をする」ということ、つまり、たとえば「足腰を動かしながら少し難しい計算をする」など、「頭」と「身体」を同時に働かせることで心身共に老化を遅らせる効果があるという。

 

幕末の英傑「勝海舟」は、当時としては長寿の75歳で19世紀の末に没したが、晩年、請われて揮毫をする時に話をしながら書をしたためたという。海舟は老いても記憶力にすぐれ、過去の事跡を細部にいたるまで覚えていたとのこと。忙しく日々を過ごしながら“Cognicise”を実践していたのであろう。

 

もう一つ例をあげることにする。

私はある機縁で作家「中河与一」と近付きになることができた。新感覚派の旗手として横光利一、川端康成等と共に大正末~昭和初めに文壇に登場し、後に曽野綾子、萩原葉子を育てた。今ではあまり読まれなくなったと思うが、代表作「天の夕顔」は発表当時(昭和13年)ベストセラーとなり、現在でも文庫版で読むことができる。

 

昭和52年6月、私が大学生の時だったが、上高地で催される「ウェストン祭」に中河先生からお誘いを受け同行させて頂いた。

当時先生は80歳位だったが、祭の前日、電車の中で長い時間立ち続けることも苦にされず、大変お元気で若々しくあられた。(ちなみにウェストンは明治時代上高地を世界に紹介した人で、6月の第1日曜にこれを記念して現地で祭が催されている。)

翌日、多少傾斜のある道を歩かれた折、先生はぐったりと肩を落として疲れ切った様にして、まさしく「とぼとぼと」歩かれていた。同行の人に聞くと、あの様な歩き方は身体によけいな力が入らず、長く山歩きをするには大変楽な方法なのだそうな。40~50分位歩いたが、その後の先生はお疲れの様子は見られなかった。

先生は、平成6年97歳で亡くなられたが、今にして思えばあの歩き方のように生きて来られたのではないか、先生は穏やかなやさしい方で感情的になられることは滅多になかった。いつもゆったりと無理な力を入れずに過ごしてこられたのではないか、お訪ねした折はいつでも、日々届けられる手紙に目を通しながら、いろいろお話をして下さった。かつて長寿の代名詞だった泉重千代さんは「長寿の秘訣は、酒や煙草はほどほどに、そして決して怒らないこと」と言っていた様に思う。

 

日々穏やかに力まずに、そして、“Cognicise”を怠らずに過ごす。

私にはなかなかできそうにないが、これが「健康長寿」のコツなのではないか、と思っている。

 

 

川俣泰男(新橋病院)

 

 
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